ワーキングジョイントとは、接合部での目地の動きに対応するための構造です。この記事では、ワーキングジョイントの定義や役割、接着方法などについて解説します。建築の耐久性や安定性に欠かせない要素であるワーキングジョイントの理解は、正確な設計や施工につながるのです。その重要性と接着方法の詳細に迫りましょう。
ワーキングジョイントとは?
ワーキングジョイント(Working Joint)は、建物の外壁の塗装において、構造物の変形や伸縮に対応するための接合部のことです。
外壁は季節や気候の変化によって収縮や膨張を起こすことがあります。この変動によって外壁材や塗膜が割れたり、剥がれたりするのを防ぐために、外壁の特定の箇所にワーキングジョイントを設けることがあるのです。
ワーキングジョイントは通常、外壁のコーキング(シーリング)として実施されます。コーキング材は、柔軟性や伸縮性をもっており、外壁の変動に合わせて伸縮するのです。
ワーキングジョイントとして設けられたコーキングは、外壁材や建物の構造部材の接合箇所や隙間に施され、塗装面との接合部を保護し、防水性や気密性を確保します。具体的なワーキングジョイントの例としては、建物の隅部や窓枠周辺、ドア周辺、柱と壁の接合部などです。
これらの箇所では、建物の変動によって発生する応力を緩和し、外壁塗装の耐久性を高めるためにワーキングジョイントが設けられます。
ワーキングジョイントとノンワーキングジョイントの違い
建築物の構造において、ワーキングジョイントとノンワーキングジョイントは重要な役割を果たします。こちらで詳しく解説しましょう。
ワーキングジョイント
ワーキングジョイントは、建物の部材が伸縮することを考慮して設計されます。
温度や湿度の変化、地震や風の力によって建物は変形や振動を起こすのです。
ワーキングジョイントはこのような動きに柔軟に対応するため、目地の動く幅を計算し、適切なシーリング材を選定します。ムーブメントの大きな目地には、2面接着と呼ばれる方法が適用されるのが一般的です。
ノンワーキングジョイント
一方、ノンワーキングジョイントは、目地の動きが比較的小さく、建物の構造変化にともなう伸縮が少ない箇所に設けられます。
たとえば、コンクリートの打継目地やひび割れ誘発目地が該当するのです。ノンワーキングジョイントでは、3面接着と呼ばれる方法が一般的に採用されます。
ワーキングジョイントの接着方法
一般的にワーキングジョイントの接着方法としてよく知られているのは、2面接着です。
この方法では、目地底にシーリング材を接着させないために、特別な材料を使用。主な材料として、バックアップ材とボンドブレーカーがあります。
バックアップ材
バックアップ材は、目地に挿入することでシーリング材が目地底まで到達せず、3面接着を防ぎます。
とくに深い目地の場合には、バックアップ材を使用することで目地の空間を調節し、シーリング剤の使用量を調整することができるのです。バックアップ材は軽量で弾力性に優れた発泡スチロール製品が一般的となっています。
ボンドブレーカー
一方、浅い目地などバックアップ材が不要な場合には、ボンドブレーカーと呼ばれる特殊テープが使用されます。
ボンドブレーカーは目地底に貼り付けられ、シーリング材の接着を防止するのです。このテープは目地の形状に合わせて切り取られ、シーリング材の接着部分と目地の間に挟み込まれます。
まとめ
ワーキングジョイントとは、建築物の外壁における重要な接合部であり、目地の動きに対応するための接着方法が求められます。ワーキングジョイントの接着方法としては、一般的に2面接着が用いられ、バックアップ材やボンドブレーカーなどの材料が活用されているのが特徴です。正確な接着方法の選択と適切な施工によって、建築物の耐久性と安定性を確保しましょう。