昔は外壁塗装といえば油性塗料を使うものでしたが、現在の主流は水性塗料です。そして、水性塗料にも種類や流行があります。ここでは、外壁塗装に使われる塗料の種類についてお話しした後に、近年の塗料の流行や最新の塗料について見ていきます。
外壁塗装で使われる塗料の種類
塗料は色を付ける「顔料」と、塗膜を作り顔料を固定する「樹脂」、これらを溶かして液体にする「希釈剤」、その他の「添加剤」という4つの成わからできています。
塗料の油性・水性の違いは希釈剤の違いから。有機溶剤(シンナー)が用いられるのが油性で、水が用いられているのが水性です。近年では環境にやさしく、耐久性も上がった水性塗料が主流になっています。
希釈剤ではなく、樹脂の違いで塗料を分類する方法もあります。すると「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」の4種類となり、右にいくほど塗装面の持ちがよくなります。使われる環境にもよりますが、アクリル塗料が使われた外壁の耐用年数が10年なら、シリコン塗料なら1.5倍、フッ素塗料なら2倍の持ちが期待できるのです。その分、塗料の代金も高くなります。
流行の塗料
流行の塗料外壁塗装の料金は、塗料代、人件費、足場代などの合計です。全体で塗料代が占めるのは2割程度ですから、少々高くても持ちがよくて外壁塗装の回数が少なくてすむ塗料のほうがよいでしょう。とはいえ、お客様の立場なら塗料代も抑えたくなりますから、最近はシリコン塗料が流行しています。塗料の性能と価格のバランスがよいと感じられるお客様が多いのですね。
また、シリコンと並んで流行している塗料に「ラジカル」があります。ラジカルとは樹脂を劣化させる化学反応のことです。紫外線が主な原因となり、樹脂による塗膜を破壊、顔料をむき出しにしてしまうのです。古いガードレールに触れて、手や服が真っ白になった経験はありませんか?古い外壁でも同じことが起こるのですが、これらは塗膜が破壊されて顔料がむき出しになってしまったことが原因です。手などについた顔料が、黒板に付いたチョークの粉と似ていることからチョーキングと呼ばれます。外壁にチョーキングが起きているなら、なるべく早く再塗装を行ってください。
少し話がそれましたが、そんなラジカルを抑える添加剤が入っている塗料が「ラジカル抑制型塗料」、縮めてラジカル塗料と呼ばれているものです。メリットはシリコンとそれほど変わらない価格なのに、シリコンよりも長い持ちが期待できるところです。
こんな塗料も!最新の塗料事情
シリコンやラジカルよりも長い持ちが期待できるのがフッ素塗料です。しかし、まだ価格がこなれていませんから、再塗装にコストがかかりすぎるようなケースで使われます。たとえば高層ビルや大型の商業施設などですが、ご予算に余裕があるならば、一般のご家庭でも検討してみる価値はあるでしょう。
また、最新のものとして注目されているのは「無機塗料」です。先ほど、外壁の塗膜を劣化させる原因としてラジカルをご紹介しましたが、ラジカルは塗膜に含まれる有機物に影響します。ならば無機物を有機物と反応させることで、塗膜を頑丈にしてやろうと開発されました。フッ素よりもさらに高い耐久性が期待できますが、価格も同様に上がってしまっているのが残念なところです。
外壁塗装で使われる塗料は、樹脂や添加物の違いで「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「ラジカル」「フッ素」「無機」に分類されます。右にいくほど塗装面は長持ちするのですが、価格も高くなってしまうのが悩ましいところです。
現在、外壁塗装で流行している塗料は「シリコン」と「ラジカル」です。理由は塗料の性能と価格のバランスが取れているから。コストパフォーマンスが高いと判断されるお客様が多いからです。フッ素塗料や無機塗料は最新の塗料だけに、まだ価格が高いように感じます。価格がこなれてくるのを待ちたいものです。