じつは、外壁塗装業者として営業する際は「建設業許可」というものが必要になります。検討中の外壁塗装業者が建設業許可をもっているか否かは、私たち消費者にとっても業者選びの判断材料になるので、非常に重要です。本記事では、建設業許可とは何か、取得の条件などをわかりやすく解説します。
そもそも「建設業許可」とは
建設業許可とは、建設業を営むにあたり必要とされる国または都道府県からの認可で、建設業法第3条によってその取得義務が定められています。これは、工事の安全性や品質、契約の適正性などを担保するものですが、すべての工事に建設業許可が必要というわけではありません。
軽微な工事、たとえば「建築一式工事以外で500万円未満の工事」や「建築一式工事で1,500万円未満、もしくは延べ面積が150㎡未満の木造住宅の工事」については、許可がなくても請け負うことができます。
しかし、もし許可が必要な工事を無許可で行った場合、建設業法違反となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金といった重い罰則が科されることになります。また、罰則を受けた場合は、今後5年間建設業許可の取得ができなくなる可能性があるため、取得していないことは業者にとって大きなリスクであるといえます。
建設業許可の取得条件・資格について
建設業許可を取得するには、業者が法的・技術的・経営的に適切であることを証明する必要があります。取得の条件として、以下の6つをすべて満たす必要があります。
1.経営業務の管理責任者がいること
会社の経営全般を管理する「経営業務の管理責任者」が必要です。これは、法人の場合は取締役、個人事業の場合は事業主本人が該当します。過去に建設業の経営経験があるなどの要件も求められます。
2.専任技術者がいること
工事の品質と安全を担保するために「専任技術者」が必要です。この技術者は、建設業の種類に応じた資格を保有しているか、実務経験を有している必要があります。実務経験については10年以上の経験、もしくは指定された種類の学校を卒業後に3~5年ほど建設業に従事した経験が必要です。
なお、社長自身がこの役割を兼任することも可能です。
3.財産的な基礎が安定していること
経営の安定性も重要な判断基準です。直近の決算書で純資産が500万円以上であるか、同額以上の残高証明書を提示できることが求められます。
4. 誠実に契約を履行すること
建設業の許可を受ける人(役員や個人事業主本人が該当)に、過去に営業許可の取り消しや、詐欺・横領・脅迫などの法令違反歴がある場合には、建設業許可は下りません。
5.欠格要件に該当しないこと
破産手続き中で復権を得ていない者や、禁固以上の刑を受けた者、暴力団構成員などは欠格要件に該当し、許可を取得することはできません。
6.社会保険に加入していること
2020年(令和2年)10月からの法改正により、社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)への加入が義務化されました。適切な保険に加入していない場合は、建設業許可の申請自体が受け付けられません。
建設業許可の有無は優良業者を選ぶための最低条件
外壁塗装を依頼する際、複数の業者を比較することは一般的ですが、その際に必ず確認したいのが「建設業許可をもっているかどうか」です。なぜなら、前述のように建設業許可は、その業者が一定以上の知識・技術・経営力・法令順守姿勢を備えているという証明に他ならないからです。
とくに外壁塗装のような住宅関連の工事では、業者の信頼性が非常に重要です。建設業許可の有無は、まさにその業者の信用力を示す「証明書」のような役割を果たしています。許可をもっている業者であれば、万が一トラブルが発生した場合にも、法的な責任をもって適切に対応することができるでしょう。
ちなみに、信頼できる業者かどうかを判断するには、その業者の公式ホームページや会社案内をチェックするのがおすすめです。多くの優良業者は、建設業許可番号や取得状況を明記しています。また、建設業許可をもっているということは、過去の施工実績や申請時の審査で適正な対応をしてきたことの裏付けにもなります。
業者選びの際は「建設業許可の有無」を最低条件として判断することで、より安心・安全な外壁塗装の依頼が実現できるでしょう。
まとめ
外壁塗装業者が建設業許可を得るためには、単なる技術力だけではなく、経営・法令・社会保障面においても厳しい条件をクリアする必要があります。工事の規模によっては取得していなくても営業・施工が可能ですが、やはり取得しているほうが何かと安心です。建設業許可は、消費者にとって工事の安全性や品質、契約の適正性などを担保するものであり「この業者は法的に認められた信頼できる存在である」という安心材料になります。外壁塗装の優良業者を調べるときは、ぜひ建設業許可を取得しているか確認してみてください。