大枚はたいて購入した我が家ですからいつまでも朽ちることなく美しい外観を保っていてほしいもの、そのためにはメンテナンスが欠かせません。
住居のメンテナンスと言えば外装塗装。
外壁を塗り替えることで建物の寿命は延び、住む人もリフレッシュされます。
けれども、一度の塗装にかかる費用も決して安いものではありません。
外壁塗装の耐用年数はどのくらいなのでしょう?
塗料の種類によって違う耐用年数とそれぞれの特性についてご案内します。
覚えておきたい法定耐用年数
建物の外壁塗装に着手する前に知っておきたいことがあります。
外壁塗装工事は原状回復を前提として修繕費として経費計上できるということです。
使用する塗料により法定耐用年数が決められており、その耐用年数に従って減価償却することができます。
法定耐用年数はアクリル塗料で5~7年
ウレタン塗料で10年
シリコン樹脂塗料は12~15年
高額なフッ素樹脂塗料が15~20年
という一般的な認識とほぼ同じです。
期間に幅のあるのは地域の自然環境やそれぞれの税務署の対応によって違いが生じることもあるからです。
ご自宅のリフォームはもちろんのこと、マンションやアパートを経営している方々にとってコスト削減のためにぜひとも覚えておいて戴きたいことです。
塗料の種類による耐用年数の違い
塗料による耐用年数の違いは法定耐用年数に同じです。
では、耐用年数の長い塗料を使用することがもっともリーズナブルになるのかというと、必ずしもそうとは言い切れません。
なぜならば、耐用年数の長い塗料は高価だからです。
20年持つというフッ素樹脂塗料を塗布した住居の外壁を20年放置しておくことと、安価なウレタン塗料を10年毎に塗ることとどちらが建物に良い効果をもたらし、結果的にリーズナブルになるかはケースバイケース、建物の構造や持ち主の年齢、経済状況によって変わってくることでしょう。
よく考えた選択が必要です。
それぞれの塗料の特性
ただでさえ地震の多い日本では、たとえ耐用年数の長い塗料でも短い期間のうちにクラックが入り、そこから剥がれてしまうことも否定できません。
外壁塗装する建物の素材と構造、地域性に留意して塗料を選ぶことが大切です。
① アクリル塗料の特性と耐用年数
耐用年数が5~6年と短いことから外壁の塗装にはほぼ使われることのないアクリル塗料ですが、きわめて安価で発色が鮮やかなことがメリットです。
そのため、数年でメンテナンスを必要とする新築物件や高い頻度で塗り替える方に好まれる傾向にあります。
このアクリル塗料の中でも特殊なのがオーストラリアで開発された純度100%のピュアアクリルという塗料です。
弾性に優れ、防水能力が高く耐用年数が15~20年という理想的な塗料なのですが、非常に高価で希少なため普及していないのが現状です。
② ウレタン塗料の場合
今や外壁塗装の主流を占めるのはシリコン塗料となりましたが、ひと昔前まではコストと耐用年数のバランスからウレタン塗料が使用されていました。
外装塗装の目安として言われる8~10年周期はウレタン塗料の耐用年数が基準であるという説もあります。
弾性も強く密着性も高いウレタン塗料ですが、毒性の強いイソシアネートという成分を含み、専用シンナーでなければ希釈できないなどの理由から使用が控えられるようになりました。
③ もっとも使われているシリコン塗料
現在もっとも使われているのがシリコン塗料です。
ウレタン塗料より高価とはいえ、1㎡当たりの単価に大きな開きはありません。
にもかかわらず、耐用年数は12~15年と長く熱に強い特性があります。
シリコン樹脂は赤ちゃんのおしゃぶりや食器類などにも使用されている安全な樹脂です。
唯一の欠点は粘度が低く付着性に劣るということですが、適切な下地処理によって改善することができます。
④ 橋梁やビルに多いフッ素樹脂塗料
塗料としてのあらゆる機能に優れ、15年から20年持つと言われるフッ素樹脂塗料ですが、今ひとつ普及していないのは高価さゆえです。
それでも橋梁やビルなど、頻繁な塗り替えが難しい建造物などには使用されています。
研究開発が進み、少しずつ求めやすい値段になりつつあるため、今後使用する方が増えると思われます。
エネルギーロスの少ない未来型塗料
近年注目を集めているのが遮断塗料や断熱塗料です。
セラミックなどを配合することによって断熱・遮熱の効果を高め、夏は涼しく冬は暖かくという理想的な住環境を演出します。
エアコンやヒーターによるエネルギーの消費を抑えるまさに近未来型の塗料と言えます。
カラーバリエーションの少なさと高価さがネックとなっていますが、自治体によっては助成金制度もあります。
耐用年数も15年以上と長いためこれからの普及が大いに期待されている塗料です。
耐用年数はあくまでも目安
それぞれの塗料の耐用年数は、あくまで基本的な目安に過ぎません。
気象条件の変化によって大きく影響されることを忘れてはなりません。
塗装業者の施工技術や全体的なコスト、建物自体の耐用年数なども併せて考えていくことが必要です。