テレビで見かける高圧洗浄のCM、あれとよく似た作業を外壁塗装の前にも行わなくてはなりません。しかし用いるのは、市販されているものよりもはるかに高価で強力な洗浄機で、作業の目的も大いに異なるのです。ここでは外壁塗装業者が行う高圧洗浄のやり方や手順、その必要性についてお話しします。
外壁塗装の前には高圧洗浄が必要
外壁塗装の見積りをとると、大抵「高圧洗浄〇〇円」という項目があり、結構な額が書かれています。「高圧洗浄機なんて、ホームセンターでも販売されているのになぜ?」と感じるかもしれませんが、DIYで行う高圧洗浄と塗装作業の前にプロが行うものとは、似ているようでまったく異なる作業なのです。
まずは使っている洗浄機が違います。エンジン式の洗浄機を駆動して、スプレーで壁面に水を吹き付けます。騒音はかなりのものになりますし、しっかりと握っていないとスプレーガンが持っていかれるほどの勢いです。また、使う水の量やかかる時間、目的も違います。タンクにためた数100リットルの水を、数時間掛けて洗浄します。目的は汚れだけでなく、壁面に付着して塗装を妨げるものを徹底的に洗い流すことです。
手順は足場を組んだら、まず養生。周りに高圧洗浄の飛沫がかからないよう、ビニールシートで覆います。コーキングなどの補修を行い壁面の洗浄が終わったら、次は乾燥。丸1日以上乾燥させてから、いよいよ壁面塗装に入るのです。
高圧洗浄はなぜ必要なの?
外壁塗装で行う高圧洗浄は、DIYでするように単に汚れを落とすためだけではありません。壁面に付着した塗装を妨げるものすべてを洗い流し、新しい塗料がしっかりと定着するようにするのです。外壁に付いている汚れやコケ、カビはもちろん、古い塗料も徹底的に洗浄しなくてはいけません。
古い塗料をはがさないまま、その上から新しい塗料を使ってしまうと、古い塗料の層ごと新しく塗った塗料もはがれてしまうのです。そうなってしまうと、せっかくの外壁塗装の寿命が大幅に縮んでしまうのです。
高圧洗浄の際の注意点
高圧洗浄の前に行うべき作業に、コーキングの補修があります。コーキングとはサイディングパネルの継ぎ目や、サッシとの隙間にあるゴム状のもの。水の侵入を防ぐためのものですが、少しでも劣化しているコーキングに高圧洗浄の水を吹き付けてしまうと、お家の骨組みまで水浸しになってしまうのです。外壁塗装と同じく劣化するのがコーキングですから、補修は必要な作業ですし、洗浄の際にも神経を使います。
また、サイディング自体に割れやヒビがあっては、そこからも水が侵入してしまいます。劣化したサイディングの補修や交換も忘れてはいけません。正常なサイディングを痛めないように、外壁とスプレーガンとの距離も注意しなければなりませんし、サッシなど高圧洗浄を使うと屋内へ水が侵入してしまうような箇所は、ビニールシートで養生しなくてはなりません。
そして壁面の上部や下部を洗浄する際にも、気を付けなくてはなりません。多くのお家には、家の骨組みと壁に隙間が作られており空気が通るようにしているのですが、同様に壁の上下にも隙間があるのです。ここに高圧の水がかかってしまうと、家の骨組みが濡れてしまいますから、壁の上下の洗浄には注意が必要なのです。
外壁塗装の前に行う高圧洗浄は、塗装の寿命を大きく左右する大切な作業です。強力な洗浄機を用いて汚れだけでなく、古い塗装なども洗い流してしまいます。この作業で新しい塗料の定着が、まったく変わってくるのです。
また高圧洗浄の作業には、壁面とスプレーガンの距離など気を付けなくてはいけないポイントも多数あります。ただ水を吹き付ければよいという訳ではないのが、プロが行う外壁塗装前の高圧洗浄なのです。